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広域的運営推進機関

概要

広域的運営推進機関は、略称「広域機関」とも呼ばれます。電力システム改革実施の第一弾として、2015年4月に発足しました。広域機関は、電気事業者の需給計画・系統計画を取りまとめるとともに、区域(エリア)をまたぐ広域的な需給や系統の運用を行います。災害発生などの緊急時には、電源の焚き増しや電力融通の指示を行い、需給調整に当たります。このほか、新規電源の接続の受付や系統情報の公開などの業務を進めます。

具体的にはある地域で大きな災害が起きたり電力需要が大幅に増加した場合に「電力広域的運営推進機関」がイニシアチブを握り、余裕がある電力会社に送電の指示を出したりします。広域機関は国の認可法人なので、すべての電気事業者に加入義務があり、これに従わない電力会社に制裁金を科す権限も持ってます。

 

法律による厳しい供給責任を担う電気事業者

電力システム改革では、電力の安定供給が大きな目的のひとつとされ、その役割を担う機関として、広域機関がスタートしたのです。従来の電力供給体制では、北海道から沖縄に至る全国10社の電力会社が、それぞれの地域の供給に責任を持って当たるシステムとなっています。すなわち、電気事業法によって、地域電力会社には、供給義務が課せられているのです。そのため、それぞれの地域では、事故や災害などを別として、電力供給がストップする事態は許されません。日本では、諸外国に比べ停電が少ないといわれるのも、法律によって、厳しい供給責任が要請されているためです。しかし、東日本大震災などの大災害発生時には、地域電力会社だけで地域の電力供給を賄うことは困難なことが明らかになりました。他の地域電力会社からの融通によって供給を賄う必要性が高まったことから、電力の広域系統運用が求められました。

電力の全国レベルでの運用

従来、国内の電力供給は、地域電力会社による地域内の需給管理が原則であり、需給ひっ迫時における他地域からの電力融通などは、地域電力会社の自発性にゆだねられていました。発足した広域機関は、地域を越えた形で発電所を運用し、電力供給を全国レベルで行うことにしています。そのため、周波数変換装置の増強や、地域間連系線の運用見直しなどにより、地域電力会社の持つ電源を有効に活用、需給調整を行う体制に取組みます。

周波数変換設備の増強

日本の電気の周波数は、東日本は50ヘルツ、西日本は60ヘルツと別れており、東日本から西日本、あるいはその逆の場合も、電力融通の際には周波数変換が必要になります。現在、周波数変換設備の能力は120万kWですが、広域機関では、2020年度までに210万kWに、さらに将来的には300万kWに増強する方針です。