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小水力発電、山形県は再生エネルギー先進県になりえるか。

小水力発電

小水力で山形県は東北の先進事例となれるか。

東北地方には全国の水田の約3割があり、多くの農業用水路が存在します。
この農業用水路が、水力発電の電源として注目されています。
農業用水路などを利用し、水力発電を実施する形態を、小水力発電といいます。
環境省は小水力発電情報サイトには小水力発電と太陽光・風力発電を比較し、下記のような情報が記載されています。

  契約容量 東京電力 JCOM
設備利用率 70%程度 12%程度 20%程度
発電原価 8~25円/kWh 37~46円/kWh(家庭用) 10~14円kWh(陸域4.5MW以上)
特徴など 発電量の変動は小さいのが一般的 昼間のみ発電 日射量により発電量は変動 風力により発電量は変動

出展:環境省 小水力発電情報サイト https://www.env.go.jp/earth/ondanka/shg/page01.html

これによると、小水力発電は、稼働率が高く、安定的な発電が可能で比較的安価な再生可能電源である、といえます。

東北の中でも特に山形県では小水力発電の導入可能性が高い。

山形県は、福島県に次いでこのような特徴を持つ小水力発電の導入ポテンシャルがあり、大規模な火力発電所に匹敵する75万kW(キロワット)の潜在量を秘めています。

図1 小水力発電の導入ポテンシャル。出典:山形県環境エネルギー部

現在の山形県で設置されている小水力発電の事例

 農林水産省が推進する小水力発電の導入プロジェクトも山形県内に数多く集まっている(図2)。
農業用水路の管理施設に水力発電機を導入して、発電した電力を自家消費するか電力会社に売電する。
未利用の再生可能エネルギーを生かして農業用水路の維持管理費を軽減することが狙いです。

小水力発電の仕組みは、大きく分けて水路式、直接設置式、減圧設備代替式、現有施設利用、の4つが存在します。

  水路式 直接設置式 減圧設備代替式 現有施設利用
概要 落差を確保するための水路・水圧管路を川などをバイパスして設置する方法。 用水路の落差工や既存の堰などに水車と発電機を直接設置する方法。 水道の給水設備などで利用されている減圧バルブによる水圧を利用する方法。 ため池やプールなどの施設の水を利用する方法。

出展:環境省 小水力発電情報サイト https://www.env.go.jp/earth/ondanka/shg/page01.html

この中でも、山形県では1番目に記載されている水路式を採用している個所が多くあります。
代表的な例は、2014年1月から運転を開始した野川小水力発電所です。
山形県内にはこういった小水力発電所が数多くあります。この野川小水力発電所年間108万kWhを想定している(100万kWhは一般家庭約300世帯分の年間使用電力量に相当)。

小水力発電を積極的に導入中の山形県。
今後、順調に導入が進めば冒頭に記載したように大型火力発電所並みの発電が可能になります。
小水力発電を起点として今後、山形県は再生可能エネルギー先進県となれるのでしょうか。
山形県の先行事例にならい、図1にリストアップされている県が小水力発電を導入すれば、CO2削減の足掛かりにもなります。今後、小水力発電の可能性に期待です。