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実は他の発電方法よりも高い。原発の発電コスト。

一般的に原子力発電の発電コストは安いものとして認識されています。
しかし、実際に厳密な計算のもとコストを算出すると、火力発電や水力発電よりも原子力発電のほうが高コストであることが判明しました。

原子力発電の発電コスト

政府発表の原発の発電コスト

2004年に政府は各発電方法のコストを発表しました。
その発表を見てみると、原子力発電のコストは発電方法のうち再安価であるとされています。
しかし、この発表は実績値ではなく、家庭に基づくモデリングを利用し算出しています。

出展:電気事業分科会(2004年1月23日)資料

そのため、原発の発電コストが最も低いかのように書かれています。
では、実績をもとに計算すると原発のコストはどの程度になるのでしょうか。

実績に基づく発電コスト

原子力発電は他の発電方法よりも高コストです。

原子力発電は電力の需給に応じて稼働量を減らすことができないため、発電量も減らすことができません。
そのため、電力需要の少ない夜間でも発電をし続けてしまいます。

その夜間に発電した電力を昼に持ち越すために、夜間に作った電気で水を下から上に汲み上げ、昼間にその水を落とし、タービンを回し発電を行っています。(揚水発電)
そのため、原子力発電のコストは、この揚水発電のコストを含めて計算すると1日の限られた時間しか稼働しないため、1Kwあたりのコストが非常に高くなります※1。

これを考慮し、有価証券報告書に則って(実績に基づいて)書く発電方法のコストを計算すると以下の表のようになります。

原子力 火力 水力 一般水力 揚水 原子力+揚水
1970年代 8.85 7.11 3.56 2.72 40.83 11.55
1980年代 10.98 13.67 7.8 4.42 81.57 12.9
1990年代 8.61 9.39 9.32 4.77 50.02 10.07
2000年代 7.29 8.9 7.31 3.47 41.81 8.44
1970-2007の平均 8.64 9.8 7.08 3.88 51.87 10.13

出展:原発の本当のコスト─公表データから見えてくるもの─
    立命館大学国際関係学部,大島堅一

1970年から2007年の原子力+揚水発電のコスト平均を見てみると、どの発電方法よりも高くなっているのがわかります。
イギリスの大手電力会社もこの点を指摘しており、原発は高コストなのでできれば建設したくない、との発言をしています。
これらの情報と福島原発事故の状況を見て、日本だけでなく、全世界的に今後も世論は脱原発の流れになると思われます。