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変圧器の仕組み・2 

変圧器

その1に引き続き

変圧器の仕組み

変圧器の容量をkVAで示すのはなぜか

変圧器がどのくらいの大きさのものか、その容量を表すには、電力のkW(キロワット)ではなく、皮相電力のkVA(キロボルトアンペア)を使います。
つまり、それぞれの変圧器に決められた一次側に加わる定格電圧(kV)と、一次側を流れる定格電流(A)を掛けたもので表します(これを「皮相電力」という)。
交流の電力は、負荷を流れると、電圧と電流の波の変化がずれるので、本来はこのずれ分も考慮した電力(「有効電力」という)で扱う必要がありますが、この値はいちがいに決められないため、皮相電力で容量を示すのが妥当なのです。

なお三相交流を変圧する場合、ふつう単相変圧器を3台用いて三相結線する方法と、三相変圧器1台を用いる方法とがあります。
三相変圧器は、単相変圧器に比べて、鉄心材料が少ないので損失も少なく、外箱も小さく安く製作できるので、送電系統のほとんどは三相変圧器を用いています。

 変圧器がうなるのはなぜ?

変電所の近くに行くと、まず耳につくのが変圧器から発生する低くて連続して聞こえるうなり音です。
音源は、いくつかの原因が重なり合って発生しているようにも思えますし、中心となる大きな原因があるようにも考えられます。

『コイルと鉄心からも音が出る』

大形の変圧器には、温度上昇を抑える冷却用の送風機が回っているので、騒音が発生するのは当たり前で、これがうなり音ではないかと考えるかもしれません。
しかし、もっと電気的な理由によるうなり音が発生しているのです。

変圧器の構造で重要なのは、巻線(コイル)と鉄心(成層鉄心)ですが、この両者ともうなり音に関係しているのです。
どうしてなのかを理解するためには、少し電気の理論の知識が必要になります。
2本の電線を近づけておいて、この電線に同じ方向の電流を流すと、2本の電線には引き合う力(吸引力)が働くという現象があるのです。この力を電磁力と呼んでいます。
変圧器の内部のコイルは、近接して並んでいる電線と同じようにも考えられます。
しかも電流が流れているときはコイルの線は、同じ向きに電流が流れて吸引力が生じていることになります。
ただ変圧器の場合、コイルに流れる電流は交流ですから、流れたり、Oになったり、向きを変えたり、常にすばやい変化をしています。
そのため、吸引力が働いても、次の瞬間Oになって、また吸引力が働くという繰り返しが起きます。この繰り返しで変圧器の巻線は常に振動しているのです。

また、変圧器はけい素鋼板の鉄心を使っています。この鉄心もうなり音の原因のひとつになっているのです。
この鉄心は磁性体と呼ばれますが、磁性体には磁気ひずみ現象があります。これは磁性体に強い磁力線が交わり変化すると、わずかですが磁性体が伸び縮みする現象を起こします。
この磁気ひずみ現象もうなり音の原因になります。

 その3へ続きます。