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変圧器の仕組み・1

変圧器

電圧を変える変圧器の中身

変圧器は、交流の電圧を電磁誘導作用という働きによって、その大きさを変換する機器ですが、電子回路用の小さなものから、柱上変圧器や発電所用の大形のものまであります。
とくに発電された電気を使用するまでには、欠くことのできない機器です。

ここでは、変圧器の構造や原理について理解を深めることにしましょう。

『変圧器の構造は簡単だが電力を減らさない工夫もいる』

変圧器は、電流を流す巻線と磁束(磁力線)を通す鉄心からできています。
そして、鉄心と巻線の関係から、内鉄形と外鉄形の2種類があります。
変圧器の巻線は、一次巻線と二次巻線があり、一次巻線で受けた電力を、鉄心内を通る磁束を利用して二次巻線に伝えるのが変圧器の働きです。
その際、一次巻線の巻数と、二次巻線の巻数の比によって、一次側から二次側へ伝えられる電力のもつ電圧や電流を変えることができるのです。
二次側から出た電力は、送電線や配電線に乗り、次の電力使用の需要地に向かっていきます。

変圧器によって一次側から二次側に伝えられる電力は、等しくなければなりませんが、実際には変圧器の内部で若干の損失が生じます。
この原因は、鉄心の中で磁力線が変化することによって、うず電流という無駄な電流が流れたり、ヒステリシス損と呼ばれる損失が発生するからです。
これらの損失をできるだけ減らすため、変圧器の鉄心の材料や組み立て方には工夫がされています。

ヒステリシス損を減らすためには、けい素鋼板という材料を使用したり、鉄心に生じるうず電流を流れにくくするため、けい素鋼板を薄く、短冊形に交互に積み重ねたりします。
変圧器の巻線に使われる電線は、細い丸線のものはエナメル線やホルマール線が使われ、平角のものは紙巻絶縁線が使われます。

『変圧器を冷やす』

変圧器は、大きな容量になるほど負担する電力が多くなるので、本体の温度が上昇します。
したがって、冷却しないと変圧器の能力が落ちてしまいます。そのため変電所にある大型の変圧器の周りには、冷却用の送風機がたくさん取り付けられて回っています。

 

大形の変圧器は、温度上昇を防ぐためにいろいろな方法をとっています。

『大容量の変圧器はカスも使う』

屋内に置かれるコンパクトなものは、巻線全体を合成樹脂で固めていますが、屋外にある柱上変圧器は、油による自然冷却をしています。
さらに大きな変圧器になると、送油式といって、油を強制循環させてその油を外部で冷却します。あるいは送風式といって、放熱器を送風機で強制冷却しています。

そのほか、油の代わりに六フッ化硫黄(SF6)などのガスを用いて、液体の気化熱を利用して冷却するガス絶縁変圧器があります。
過密化の進んだ地下変電所などに設置されているもので、154キロボルトアンペア(kVA)、50メガボルトアンペア(MVA)以上の超高圧、大容量の変圧器に使われています。

その2へ続きます。