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交流回路に付きまとう力率と言う厄介者・2

交流回路

■コイルで発生する力率悪化はコンデンサで改善する

電力供給システムにおいて、負荷の力率が悪いと、無駄な電力が発生して多くの電流を流さなくてはならなくなり、変圧器などの設備が大型化して経済性が悪くなってしまいます。そこで、力率を改善するために、高圧受電設備には高圧進相コンデンサと呼ぶ装置が設置されています。

力率改善にコンデンサを用いる理由は、電気負荷では電動機などコイルを利用する機器が多く、力率を悪くさせる一番の原因はコイルによって生じる電流のずれ(電圧変化に対して電流変化が遅れる)だからです。

そこで、電圧変化に対して電流変化が進む性質をもつコンデンサを電源に入れることでずれを打ち消し合って力率を改善させるのです。

また、ビルや工場など大量の電力を使用する場所の変電室には、電力計と力率計が必ず備えられて管理されています。

 

力率が改善されると、負荷まで電力を供給する電線路を流れる電流が少なくて済むので、電力の損失も少なくなります。電力会社の立場から考えると、力率の悪い需要家に電力を供給する場合には、設備が十分に生かされないのでもったいないわけです。

そのため電力会社では、「力率85%を基準」にして、これより力率がよい場合には基本料金を割り引き、逆に悪い場合には割増し料金をとるというような料金制度もとられています。

これらのことから考えても、力率の改善ということは高圧受電設備にとっては、おろそかにできない重要なことがわかります。

 

■コンデンサでの適切な力率改善

コンデンサは、設置した位置から電源側の電線路を流れる電流が減ることから基本料金の割り引きが得られるのですが、それと同時に変圧器の低圧側で末端に設置するほど設備全体の力率改善効果は大きくなります。

たとえば、変圧器の高圧側に進相コンデンサCが接続されていても、それぞれの変圧器に接続されている負荷の力率が改善されたことにはならないのです。

つまり電力会社から各変圧器まで送られてくる電線路の力率はよくなりますが、モータの力率がよくなったわけではないのです。このモータの部分の力率をよくするためには、さらにモータと並列に適当な容量のコンデンサを接続する必要があるのです。