2015年4月21日にロシア政府が浮揚式原子力発電所を2016年までに完成させる予定であることを発表しました。実際に完成した場合には世界で初の浮揚式原子力発電所となります。
浮揚式原子力発電所とは?
浮揚式原子力発電所とは、水中または海中の船体・浮体に原子炉が実装された発電所です。
浮揚式原子力発電所のメリット
浮揚式原子力発電所のメリットとしては以下が挙げられます。
・地震の影響をほとんど受けない
・津波に強い
・落下物及び軍事攻撃に強い
・全電源を喪失しても海水を注水することが容易
・船体自体が海水により常時冷却されている状態なのでメルトスルーしにくい
・爆発した際の威力が水圧により減殺される
・移設が可能
浮揚式原子力発電所のデメリット
浮揚式原子力発電所のデメリットとしては以下が挙げられます。
・船体建造費がかかる
・通勤が困難
・海中への固定・位置保持の問題が未解決
ロシアの開発する浮揚式原子力発電所、「アカデミックロモノソフ号」
8年前の2007年4月15日にロシアは浮揚式原子力発電所「アカデミックロモノソフ号」を起工しました。設計時の建造費は3億3600万ドルで商用運転は2013年を予定していましたが、造船所の親会社の経営破たんなどの諸問題が発生し、2016年完成(予定)まで延期になっています。原子炉は基本的に沿岸部のインフラ設備に接続し、電力はケーブルを通して北極の都市に供給されます。
この浮揚式原子力発電所は長さ144m、幅30mほどの船であり、69人の乗組員を想定して作られています。発電のために2基の原子炉を積んでいて総発電量は70MWとなっています。