下水熱の可能性
日本の下水処理量は145億㎥に相当しその下水熱を利用すると約1800万世帯もの冷暖房熱源に相当します。しかしそのほとんどが下水処理場だけの利用にとどまっています。また熱需要の高い地域で利用するには、別途、熱導管を敷設する建設費が必要になりますが、導入にコストがかかります。ではこのままこのエネルギーを垂れ流していてもいいのでしょうか?
下水熱の活用法
そこで注目されたのが下水管を流れている下水熱をそのまま利用する方法です。テーマは「コンパクトかつ安価なシステム作り」で、下水管で採熱・放熱する熱交換器などの開発を実施し、併せて下水に混ざったゴミや異物を取り除くくみ上げスクリーン装置を開発し、その装置に関しては海外の既製品より安価にすることに成功しました。
これにより下水管の更新工事に併せて管路内に熱交換器を組み込む方法などが検討されています。また調査によって従来のエコ対策よりもはるかに効果があることが判明しました。
下水熱導入の課題
実際の導入には課題がありました。
1つ目は供給量と需要量のマッチングです。これに関しては現在下水管内の熱賦存量や存在位置は把握できていないのですが、そこで国土交通省と環境省との連携で管内の熱量を地図上に落とし込む技術が作られ、浦安市や神戸市、福岡市などをモデルにシステムの試用を始めました。これにより供給量を把握できるため需要側が下水熱の導入を前向きに検討できるようになりました。
もうひとつの課題は管理する自治体と民間企業の連携です。理想的なビジネススキームは下水道事業者(供給側)が熱交換器を設置し、民間企業は利用料を払い運用を継続するというものです。そのための土台作り、意識作りが非常に大事になってきます。