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ホワイトラベルは容認へ。電力会社の4つの提携販売の形

People holding hands

少し前に「ホワイトラベルと業務提携をくらべてみた」で、ホワイトラベルと業務提携の違いを確認してみました。その後、2015年8月3日から電力小売事業者ライセンスの申請がスタートし、本格的に新電力として電力小売を行う企業が動き始めています。

その動きの中で、ホワイトラベル以外にも様々な形態の提携販売の形が模索され始めてきました。今回はそんな電力の提携販売の全てを比較して考えてみます。

いかに電力小売ライセンスをとらずに提携販売を行うかが焦点に

電力小売事業者として登録するには、経済産業省・資源エネルギー庁に対して申請を行わなければいけません。申請後、営業ガイドラインなどに則ってライセンス付与の可否が審査されます。その審査に合格した事業者だけが、2016年4月から新電力として電力小売を行うことができるようになります。

電力市場はこれまで市場競争がなかったという点と極めて重要なライフラインであるという点で、慎重なライセンス制が導入されます。

一方で、電気事業者側はできるだけ低いハードルでの新規参入を望んでいます。各電気販売(予定)事業者はライセンスなしで電力販売・契約ができるような仕組み構築を目指してきました。もちろん、単独でライセンスなしの電力小売販売を行うことはできません。

そこで、ライセンス取得ができる大手電力会社との提携によって電気販売を行える方法が検討されています。経済産業省・資源エネルギー庁からストップがかかる可能性はありますが、2015年9月現在、検討されている提携の形が4つあります。

提携の方式①:ホワイトラベル

ホワイトラベルの提携は、A社が発電(もしくは卸市場で仕入れた電気)をB社がB社のブランドで販売する提携の形です。一般家庭の電気使用者はA社の電気だということが分からないような契約になります。また、A社もB社も小売販売事業者としてのライセンスを取得するので経済産業省や資源エネルギー庁からストップがかかる可能性は極めて低い提携と言えます。

ホワイトラベルの詳しい内容は「小売りの販売手法「ホワイトラベル」消費者目線での問題点」へ

ホワイトラベルのメリット

B社は電気の仕入れ・同時同量・安定供給といった電気の質の担保をすることなく電気の販売を行うことができます。

A社にメリットはないように見えますが、A社はプロモーションやキャンペーン活動・営業など顧客獲得をする必要がないので知名度の無い電力会社の場合メリットは大きいでしょう。

ホワイトラベルのデメリット

使用者(需要家)はB社の電気として契約しているので、万が一電気の質の部分で不備が生じた場合、責任の所在が不明瞭になってしまうおそれがあります。

B社はライセンス取得が前提なのでA社は提携先の企業が絞られてしまいます。

提携の方式②:取次ぎ販売

取次ぎ販売もホワイトラベルと同じく、A社が仕入れた電気をB社のブランドとして販売する形の提携です。ホワイトラベルと違う点はB社が電力小売事業者としてのライセンス申請を行わない点です。この場合、A社はB社に販売業務のみを委託し電気の保全に関する部分は全て担っているのでB社のライセンス取得は必要ないのではないかという考えで進められています。

取次ぎ販売のメリット

B社は電力小売事業者のライセンスを得ずに、B社の電気として販売することができるので、「電力事業への本格参入は考えていないが既存顧客を多くもち、電気との親和性が高いメイン事業がある会社」がこの場合のB社になります。このB社にとってのメリットは大きいと言えます。

A社にとっても、ホワイトラベル型の提携とは違い提携先のB社の範囲が全ての会社になり、より幅広い企業との提携を結ぶことが可能になります。

取次ぎ販売のデメリット

ライセンスを持たないB社の電気として販売するので、経済産業省・資源エネルギー庁からペナルティーを受ける可能性が高い提携です。

一般家庭の使用者も電気の販売会社として認められていないB社から電気を買うことになるので、電気の安定性やサービスにおいてリスクが高い契約になります。

提携の方式③:代理販売

代理販売は、A社がB社と代理店契約を結んで、A社の商品(電気)を販売します。上の2つと違ってこの場合、B社はA社の電気として販売します。一般家庭の使用者はB社と契約を結びますが、使用する電気がA社で仕入れられたものであるということをわかった上での契約になります。

代理販売のメリット

A社とB社の提携関係を知った上での契約になるので、一般家庭の使用者がどの会社の電気なのか把握することができます。

B社は代理店として独立しているので、A社から供給を受けた電気を自由にパッケージングして販売することができます。

代理販売のデメリット

A社は提携先によって料金メニューや商品設計が変わってしまうので、一括での管理が難しくなります。つまり、A社にとってのメリットが無いことがデメリットとして挙げられます。

また、一般家庭の使用者は契約の際にA社を知るので、①②のように知名度のない会社はA社になり得ません。逆に、知名度のある会社は自社で販売した方が、手数料がかからず利益を上げやすくなってしまいます。

提携の方式④:媒介販売

媒介販売は、基本的に代理販売と同じです。唯一の違いはB社が販売する電気をB社は独自に設定することができないことです。A社の影響力が強くなる分、B社の自由度が下がります。一般家庭の使用者もよりA社と関係のある層になるでしょう。

媒介販売のメリット

A社の料金プラン・サービスに準ずるので、A社が多くの会社と提携してもサービス品質は下がりません。代理販売と違い、A社は一括して顧客管理を行うことができることもメリットです。

媒介販売のデメリット

B社の自由度が低いので、A社に大きな魅力が無い限り提携は実現しません。

一般消費者は、A社の提携先であればどこでも同じ条件になるので、比較検討が困難になります。

経済産業省はどこまでを許容するのか議論を重ねている最中

経済産業省・資源エネルギー庁は制度設計ワーキンググループ内で議論を重ねています。特に、どこまでの提携を許容するのか有識者の間でも意見が二分しています。また、議論を回を重ねるごとに許容範囲が変わったり、決め切れていないのが現状です。今後どのように決定がなされるのか追って報告したいと思います。