2015年1月、茨城県水戸市に設立された「水戸電力」をご存知だろうか。
水戸市に本社を構える株式会社スマートテックと株式会社フットボールクラブ水戸ホーリーホックにより設立され、スポーツクラブとの共同出資として立ち上った電力会社として話題になっている新電力だ。
茨城県の水戸市を中心とした「地産地消」「地域経済の活性化」や、出資母体となっているスマートテック社との連携による「スマートシティ」構想など、2016年4月の電力小売り全面自由化に向け、取組を加速している同社の岡野氏(スマートテック社 電力・インフラ事業部)に話を聞いた。
設立経緯
スマートシティ構築を目指し「新電力事業」へ参入
水戸電力の出資母体であるスマートテックは2005年の創業以来、太陽光発電やオール電化などの事業展開を行い「スマートシティ」の構築を目指して事業活動を行っている。スマートシティを構築する上で「電力」は外せないコンテンツであり、2016年4月に開始される電力小売り全面自由化が開始されるタイミングで水戸電力を設立したというのが経緯だ。また、スマートテックは共同出資者である水戸ホーリーホックさんの看板スポンサーという事もあり、地域に根付いたサービスを一緒に展開できないかと兼ねてより話をしていた中で、水戸電力設立に関してご賛同をいただき共同出資という形で設立に至った。
スマートテック社との連携
水戸電力×スマートテックで「地産地消」「企業誘致」による「地域経済の活性化」を
水戸電力が掲げる「地産地消」「企業誘致」による「地域経済の活性化」を実現させるため、スマートテックで培ったグリーンエネルギー発電の施工ノウハウなどを用いて、水戸電力とスマートテックの連携を強化している。スマートテックの事業として、大きく3つの事業があり、水戸電力と連携する事で地域貢献できるサービスを提供していきたいと考えている。
「エナジーソリューション事業」
太陽光をはじめとしたグリーンエネルギーの発電所の設計・施工を行っている。大規模プロジェクトから店舗・工場などの屋根を利用した小規模な発電所まで幅広く手掛けており、敷設した発電所からの電力買取・卸売など水戸電力と連携が一番強い事業だ。太陽光以外のグリーンエネルギーとしてバイオマス・水力などの敷設も手掛け、特に小型風力発電に関しては収益性の高いグリーンエネルギーとして今後注力することを予定している。
「O&M事業」
エナジーソリューション事業で敷設した発電所などの設備に関して、発電性能を長く維持し発電量の最大化を図るためのメンテナンスを行う事業。現在までに5,000件以上の太陽光をはじめとした施工実績でのノウハウを生かして発電者の利益を確保する。また、スマートテックと電力買取の特定契約を締結する事で、太陽光発電システムのメンテナンスを無料で提供する「Zメンテ」というサービスをグループ会社である「ネクストエンジニアリング」と共に提供しており、メンテナンスを通じて安定的な発電と売電をサポートするサービスを提供している。
「スマートハウス事業」
デベロッパーとして分譲スマートハウスを設計から施工まで一括提供している。屋根と一体型の太陽光発電システムの敷設やオリジナルHEMS「ミライゲート」の提供を行い、電気の使用量や発電量を可視化できるようなサービスでお客様にご利用いただきやすいサービスの提供を行っている。
オリジナルMEMS「ミライゲート」はコミュニケーションツールを搭載
「ミライゲート」は住宅設備の情報をクラウド上で管理して、入居者の「お困りごと」に対して地域の工務店や販売会社とコミュニケーションが取れる機能を搭載しており、地域全体で解決ができるような仕組みを提供している。本機能で居住者様はより住みやすく、地場の事業者には事業拡大や地域経済への貢献など様々なメリットが生まれ、スマートハウスを中心としたコミュニティーの構築が可能になると思っている。また、「ミライゲート」は電力の使用量を管理しているので、電力の使用データをもとに地域の自治体などと連携して「高齢者見守りサービス」や「災害時の避難発令」などの地域に根差したサービスの提供も今後予定している。
今後の取組
水戸市を中心に、茨城・首都圏全域に電力を提供予定
高圧は12月供給開始予定
2016年4月の自由化開始のタイミングで提供を開始する予定です。既に自由化されている高圧部門に関しても、既に引き合いをいただいており、将来的には水戸市を中心に茨城県全域・首都圏への電力提供も予定している。また、電力量料金も現状の料金より安価に提供する事を検討しており、コストの面でもお役立ちすることで地域の活性化に繋げたい。
地域新電力運営代行サービスで電力事業設立をバックアップ
水戸電力の有する実績やノウハウを生かして、新電力事業に関わる業務を全て代行するサービスも開始している。「参入したいが何をすれば良いかわからない」というスタートアップの段階から、「受給管理業務のパートナーを探している」などのピンポイントな業務サポートまで幅広く対応し電力事業立ち上げをバックアップしている。ドイツのシュタットベルケをモデルに地域に根差した新電力事業をお考えの自治体様などに対して、水戸電力での運営ノウハウを生かして事業設立のバックアップを行い、新電力事業者のプラットフォームになりたいと考えている。
(energy-navi編集部・佐藤洋平)
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水戸電力株式会社
代表者 小寺 雄三
所在地 茨城県水戸市赤塚1-16
設立 2015年1月9日
株主 株式会社スマートテック・株式会社フットボールクラブ水戸ホーリーホック
事業内容 発電事業、および電力売買事業
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