新たな協業関係を生む
スマートコミュニティは、その幅広い製品やソフトウェア、さらにはそこで生み出される多様なサービスが関連します。そのため、従来のモノづくり産業やエネルギー産業にとどまらず、ほかの多くの産業や地方自治体が重要な役割を果たすことになります。 例えば、パワーエレクトロニクス機器メーカー、制御される機器のメーカー、蓄電池メーカー、通信機器メーカー、それらを制御するソフトウェアメーカーなどは、主要なスマートコミュニティのコンポーネントを形成するためになくてはならない存在です。
一方で、スマートコミュニティは、その地域が有する課題を解決するようなサービスを提供することが重要です。たとえば、高齢化が進んでお年寄りが多い地域では、その足となる公共交通が重要な役割を果たします。そのため、公共交通を最も効率的に、かつ環境に負荷の少ない形で運営するためには、交通サービスを提供する事業者が必要です。さらには、こうした地域の課題をあぶり出し解決するコンサルティング業者や、地方自治体の都市計画、農業や土木、道路整備などの土地利用関連部局も重要になってきます。
そして、スマートコミュニティの形成においては、従来のビジネス環境ではあまり付き合いが無い産業間での協業が重要になります。
たとえば、現在独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施している海外実証プロジェクトでは、本来ライバルとなる企業同士やゼネコン、通信会社、金融事業者などを組み合わせたコンソーシアムとして事業展開しています。これらにコンサルやベンチャー企業なども将来参加してくる可能性があり、こうした多様な産業の組み合わせは単にビジネスの関係を広げるのみならず、新しい製品やサービスを生むことにもなります。
以上のことを鑑みると、スマートコミュニティの形成には、産業政策の視点からも期待が大きいと言えます。